シーズン2は更に面白く、更に下品に!
私は好きなドキュメンタルですが、内容が濃過ぎて一般受けはしなさそう。Amazonプライムユーザーだけの特権で観られるのは良いのですが、周りで観てる人がいなくて語り合えない、そんな作品です。悲しい。
さて、松本人志の実験場もシーズン2です。前回は驚きの結末でしたが、今回は果たして、ちゃんと結果が出るのでしょうか? 実験的な番組ですから、人間と人間の化学反応を観るならば、これほど興味深いものもないんですけどね。
ドキュメンタルのルールは単純で、10名の芸人を密室に閉じ込めて、お互いが笑わせ合い、笑った奴は退場。最後まで笑わないでいた者が勝利! 制限時間は6時間! そして1,100万円(うち、100万円は当事者の参加費)を手に入れることが出来るわけですが……前も指摘されてましたが、まあ、100万円用意して参加するというのはネタというか、脚色というか、そんな感じなんでないかと思いますが、本当に100万円用意してガチバトルだったら賭博法に引っ掛かるんじゃないかとか、そういう話もありますね。無粋でしょうか。まあ、登場している芸人達がノーギャラというのも考えられないですから、ギャラで100万円以上貰ってて、それで帳消しにしてるんでないかと思うんですけど、これも謎な部分ですよねぇ。
さて、以下は予告編です。シーズン2も豪華な芸人達だ!
まずは参加している芸人達の紹介
今回は以下の10名で雌雄を決します。
- 宮川大輔
- FUJIWARA 藤本敏史
- 平成ノブシコブシ 吉村崇
- アンジャッシュ 児嶋一哉
- バイきんぐ 小峠英二
- 森三中 大島美幸
- ジャングルポケット 斉藤慎二
- バナナマン 日村勇紀
- ダイアン 津田篤宏
- ジミー大西
攻守共に良さそうなメンバーだなと第一印象。私が好きな芸人さんもおります。特に、バイきんぐの小峠さんは何の番組で観ても面白いし、軽快な笑いで印象も良い。あとはアンジャッシュの大島さん──でなかった、児嶋さん。彼はですね、俳優として印象に残ってるんですよね、『恋の罪』の名演が本当に印象に残ってる。あれは凄かった。あ、話が逸れました。「児嶋だよッ!」は分かってても面白いですはい。とりあえず、縦横無尽なメンバーなので、企画の意図的にも期待が大きい。
さて、本編の感想に入っていきたいと思います。以降はネタバレがございますのでご注意ください。
導入された新ルール<ポイント制>で局面はどう動くか?
シーズン1での問題点の一つとして、防御に徹していれば優勝してしまうというものがありました。笑わせにいく方が不利になってしまうという部分が大きかったのではないでしょうか。人を笑わせようとした時に、当然として、仕掛ける当事者は<どう笑わせようか>意識をしているわけですから、笑わせるための布石や相手の反応まで想定して動くわけです。そうであれば、仕掛けた時に相手が想定していた以上に面白い反応をしてしまったらカウンターを食らって自爆してしまう。これ、ゲラの人に多いことなんじゃないかと思います。笑わせようとする剣を振るったら、実は諸刃の剣だったというわけですね。芸人さんはその辺りも理解していると思いますから、このドキュメンタルという企画で勝ちを狙いにいくのであれば、相手を笑わせることよりも、笑わないことを優先し、出来るだけ相手の面白さを殺しに掛かれば良い。ただ、それだと視聴者的には面白くないことになってしまうでしょうから、松本人志も悩んだことでしょう。
そこでシーズン2で導入されたのが<ポイント制>です。相手を笑わせたら、それが自分のポイントとなって蓄積されていく。最終的に何人が残っても、ポイントが高い者が勝者になる。これは前回の問題点を払拭するものになったのではないでしょうか。
実際、この制度によって参加陣の行動が、よりアグレッシブになったのではないかと思います。しかし、先述した通り、笑わせにいくのは自分に跳ね返ってくる危険性があるから、参加者としてはバランス感覚が難しいところですね。
暴力と下ネタの祭典
地上波NGのネタもOKということで、芸人達がやりたいことを何でもやっていきます。それがとにかく危うくて、偶発的に暴力(わざとでないのは分かる)が発生したり、収録中に怪我をしたり、やっぱり裸になって下ネタに走ったり。脱げなければ芸人じゃない、という考え方もあるわけですから、個人的には脱ぐのは大いに結構なのですが、問題は<脱いだくらいでは誰も笑わない>ってことなんですよね。プラスアルファがないと。ちなみに、知識としてですが、人間は笑いを取ろうとする時に、究極まで追い詰められると裸になってしまうそうです。なんと人類のDNAに組み込まれているんだとか……本当なのかなー。以下の記事で読みました。興味があればどうぞ。
最強の敵は“油断”だった
今回とても顕著だったのは、6時間にも及ぶ長い収録だからか、一時的に芸人が<日常>に戻ってしまうことがあった。つまり一瞬、油断して普段の自分に戻ってしまうということだ。特に、宮川大輔がジミー大西にタオルを差し出して拒否されたシーンが分かりやすい、素の自分に戻って普通にジミー兄さんと接してしまったばかりに「ハハッ」と笑ってしまう。日常だったら何でもない場面ですが、これがドキュメンタルでは大きく恐ろしい敵なんじゃないか、他にも似たように、日常に帰ってしまって何でもない場面で笑う芸人がいたりする。でもドキュメンタル的にはアウトで、これで脱落ってのもある。うーん、勿体ないが緊張感は持続させておかないといけない、つうことですね。
ジミー大西の下ネタ
ジミー兄さんの下ネタが凄い過剰に下ネタなんですよね。もう芸歴長いのに身体張ってるなぁと感心。笑ってはいけないでもそうですが、ジミー大西は普通にしてても面白いので、周囲の芸人にとっては強敵だったでしょうね。ただ、彼も笑いのツボが独特で、どうにもシュールな場面で笑う気がする。藤本敏史が唐突にアイスバケツチャレンジを始めるシーンでジミー兄さんは撃沈してしまいますが、私は唐突過ぎて何が面白いのか分からなかったのですが、あの場所にいたら感じる独特の空気なんでしょうか? ジミー兄さんはコンニャクにたこ糸を通した謎のネタや、クラッカーをバラまいたり、掃除機にアレを吸い込んだり、登場陣の中でも相当にアグレッシブで良かったと思います。個人的にジミー兄さんで一番面白かったのは、ラーメンが甘くて「お前、砂糖入れたやろ! 大島ぁー!」のシーンです。あのツッコミは良かった。
最後は壮絶な芸人の戦いだった
さて、最終的に残った芸人は小峠英二と斉藤慎二でした。意外な組み合わせとなりましたが、その前まで残っていた吉村崇の、何かしないと時間がなくなる! 何かしなきゃ! という、若干暴走気味の立ち居振る舞いを引き継いで、一騎打ちでは訳の分からない暴走が始まります。もうね、何してるかよく分からなかったし、当人達も何をやっているか分かってなかったみたいだし、追い詰められた芸人って凄いなと思いました。もう、相手を笑わせようとか、面白いことしてやろうとかよりも、焦燥感に駆られる獣のような感じで、もう野性が剥き出しになってましたね。
そして終了直前に起きたジョイマン・ミラクル、偶然に違いないが、アレは凄かった! 観ている方は度肝を抜かれましたね。
結局、最終的には2人が残って、ポイント制にて勝敗が決したわけですが、優勝者は納得でしたね。実際、面白かったし、最も身体を張ってたと思います。元カノの話を振られても全部を面白おかしく返してたし、いやー良い戦いだった。
完全決着が見られる日は来るのか?
前回のレビューにも書いたのですが、ドキュメンタルはとても難しい企画で、まだ完成形には至っていません。番組が後半になるにつれて、残っている芸人が持続して面白さを発揮し続けるのはなかなか難しい。思考能力の低下、何が面白いのかが分からなくなる、単純にネタが尽きてやりたいことがなくなる、といった問題など。これらを解決する要素を組み込んでいって、私が観たいのは、最終的にどちらかがどちらかを笑わせて最後に一人のみが立つ完全決着です。ただ、そのハードルは相当に高そうだなと思います。色々と考えても、芸人が二人だけで、エネルギッシュに相手を笑わせるための攻撃を繰り返すためにはいくつか条件が必要になってくるし、何というか、もっと斬新なルール設定をしていかなければ解決しない事柄なんじゃないかとも思われます。次の『ドキュメンタル シーズン3』は既に公開がされているので、早めに感想も書いてしまいます。近いうちに。【管理番号:ま001-001-002】