反社会的な内容の日記になってしまうかも知れないので怖いのだけど、オーバードースを体験したことがあるので書いてみたい。
現在、薬が怖くて飲めない
僕は年に2度くらい風邪を引くのだが、薬を飲まない。どこかで聞いた覚えがあるが、薬というやつは『毒をもって毒を制す』という役割を担っているものらしい。つまり、風邪などで体の中にウィルスがいる状態で薬を飲むと、それをやっつける強力な成分がウィルスを殲滅する。いや、表現が正しくないかな? 押さえ付けるというか、抑止力として効果があるらしい*1。風邪を引いているという体の状態は楽になる。まあ、薬には副作用が付きものだが、それはウィルスを抑制するためで仕方がない。そもそも、風邪薬程度の副作用は大したことない……というところか。
ただ、どうにも一度、オーバードースを経験してしまうと、まかり間違って、再びぶっ飛んでしまいそうなので、薬を飲むこと自体に恐怖を感じてしまう。
それは、些細な勘違いから起こった
僕が小学生の頃、病院で処方される薬には<写真付きの処方箋>が存在しなかった。シンプルな薬袋に『1日2錠(食後)』などと用法用量が記載されているだけだった。もう20年ほど前の話だけど。
ある日、風邪を引いた僕は、4種類程度の薬袋とにらめっこをしていた。
「ちゃんと、どの薬をいくつ飲むか確認しないとな……」
その中には強力だと思われる抗生物質もあり、間違った量を飲むわけにはいかなかった。それぞれ用法用量が異なった。僕はそれぞれの薬を全て袋から取り出し、並べてみた。
「決して、飲む量を間違えないように注意しよう……」
僕は薬を袋に戻した。
いくらか時間が経過した後、僕は食事をして薬を飲んで、明日に備えて寝た。
僕はうなされた。
非常に気分が悪く、目を覚ました。
「!?」
目を覚ました僕は、自分の上にのし掛かる大きな荷重を感じた。
僕の布団の上に<黒いナニカ>が乗っかっていた。
「なんじゃぁあこりゃー!」
僕は松田優作ばりに叫び声をあげ、その黒い物体を見詰めたのだが、基本黒色のソレは青や赤やオレンジ、紫や黄色やキンピカに多種多様な色を発しつつ光っていて、周囲には線香花火ばりにチカチカの色がきらめいている。
それは、明らかにこの世に存在しているものではなかったが、しかし、僕には確かに見えた。触れることは出来なかったが、物体があるのが見えた。
人間の目に映るものは結局、脳のそれを感じ取る部分が映し出す虚影に過ぎない。存在していようが存在していまいが、頭のどこかが変質し、正常な回路としての機能を果たさなくなった時、本来見えないものが見えてしまう。目が認識していなくとも、脳が認識してしまった時に、ありえないナニカが確かに現れ、恐怖の魔物として召還される。
それはマジでやばかった。
本気でやばかった。
僕は盛大に吐いた。
また、身体に表れた他の変化として、心臓の鼓動が激しくなり、悪寒が走り、呼吸が荒くなった。
なにか悪いことが自分の体に起きていると気が付くまでにそう時間が掛からなかったので、母親の元へ走った。
母親はすぐに車を用意して僕を病院へ搬送したが、それでも吐き気は止まらず、体中の水分を全て世界へと還元するくらい、長く長く異常は続いた。
マジでやばかった。
病院の先生が色々と質問をしてくるが、まともに答えることも出来ず、あらん限りの嘔吐物をバケツに蓄積した後に、僕は病院のベッドに寝かされて点滴を受けた。
オーバードースの原因
医者によると「薬の飲み過ぎですね」ということだったが、あれだけしっかりと確認したのに、なぜそんなことが起きたのか! 僕は疑問だった。
家に帰った後に原因がすぐハッキリとして、僕は自分の浅はかさを呪うこととなったのだが、どうやら僕は全ての薬を袋から取り出した後に、戻し間違ってしまったらしい。本来収めるべき袋ではなく、メチャクチャに入れ替えてしまったせいで、あれだけTVのCMなんかで守ることを義務付けられている用法用量を誤ってしまったようだ。
抗生物質を大量に服用したら、そりゃ身体も精神も異常を来す。恐怖の事故はそうして起こってしまったようだった。
幻覚を見たことがない人が世の中に多いのは当然だが、アレはマジでやばい。何度も言うようでくどいが、マジでやばい。目に見えないはずのものが本当に其処に存在しているように見えてしまう。最近も、TV番組の特番で薬物中毒の人が「そこに蝶々が飛んでるでしょ? 極彩色の」なんて言うシーンを見掛けたが、それは馬鹿らしいことではなく、それが見える人には確かに見えていて、間違いのない事実を述べているだけに過ぎない。僕は少し同情する。
今は写真付きで用法用量も丁寧に記載された処方箋が存在するだろうし(しばらく病院に行ってないから分からん)、こういった間違いは起きないだろうけど、僕がそういう間違いをしたのだから、全国で何人かはそうした事件に遭遇したことはあるかも知れない。
オーバードースなんてするもんじゃないですよ! 当然だけど。
こうしたことが自分の身に起こってしまうと、薬ってやっぱり怖いなぁと思いつつ、結構辛くても風邪薬も怖くて飲めない。皆様もお気を付けください。
ただ、薬を否定するつもりは毛頭ないことを最後に記しておきます。身体を楽にするためや、重病を治すために薬が存在することは理解しておりますので、用法用量を守って計画的に使うことが大切です。
*1:薬は手助けで、病気を治すのは身体の機能だ。