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任務と人間を描いたSF『オブリビオン』を鑑賞しました《評価・感想・レビュー》

やっぱりトム・クルーズはカッコいい

 多数の出演作品を誇るトム・クルーズですが、心に残る作品って何だったかなと考えてみると、人によって様々でしょうが私の場合は『バニラ・スカイ』なんですよねぇ、マイナーだなぁ。大抵の方々は『トップガン』や『ミッション:インポッシブル』シリーズなどを挙げそうですけど……いや、良かったんですよ!? 『バニラ・スカイ』のトム・クルーズは! と、熱弁したい気持ちに駆られる。

 まあ、それはさておき今回は『オブリビオン』です。2013年の公開当時は劇場予告を観る限り「こりゃあSF大作来たか! 『宇宙戦争』以来の!?」なんて思ったものですが、公開されると評判がそこまでよろしくない。賛否両論といった具合でしょうか。SF映画って評価が分かれることが多いですよね。結局、観よう観ようと思いつつ、気が付くと、結構な時間が経ってました。4年経ってるし、落ち着いて観ることが出来ました。個人的には好きな映画でしたけど……万人向けかというと、うーむ。

あらすじ

 突如として地球に侵略を開始したエイリアン<スカヴ>との戦いから60年、地球は半壊し、ほぼ全ての地球人はすでに宇宙へ逃れていた。

 そんな中、地球に残り偵察作業を続けていたのは海兵隊司令官のジャック・ハーパー(トム・クルーズ)とヴィクトリア・オルセン(アンドレア・ライズボロー)の二人のみである。彼らは、度々襲い来るスカヴの残党を撃退しながら、日々を過ごしていた。

 しかし、そんなある意味で平坦な毎日は、墜落して来た宇宙船と、そこから救出した一人の女性ジュリア・ルサコーヴァ(オルガ・キュリレンコ)の登場により一変して行くのであった。


映画『オブリビオン』予告編

自らも知らなかった境遇

 ちなみに、ここからネタバレを含む内容となりますので、未見の方はご注意ください。

 話としては既に<あらすじ>で記した通り、私、好きな内容なんですよね。人間がほとんど残っていない地球で、孤独に敵と戦い続けるというのは、なかなかロマンがある展開です。よくある設定といえばそうですが、分かりやすいステージが用意されているってのは悪くないでしょう。頭に入りやすいし。案外、主人公ジャックも自分の境遇について悲観的には考えておりません。早く任務を終わらせたいとは考えているようですが、荒れ果てたスタジアムで昔、そこで行われたかも知れない試合を夢想し「タッチダウン!」と声を上げる場面なんかは「なんか楽しんでない?」と思ってしまう。人間って、自分がどんな立場に追いやられても、意外と楽しみを見付け出してしまうものなのでしょう。よっぽど劣悪でなければですが……。

 ジャックの場合は、任務として地球に残ってはいるのですが、許されている境界範囲の中を出なければ、ほとんどの行動が許されています。思いの外、自由だということです。ジャックの相棒・サポート役としてヴィクトリアという女性がいるにはいますが、彼女の制止も無視するくらいですから、下手に縛り付けられるのも嫌うタイプなのでしょう。自分先行の行為も目立ちますが、元々、海兵隊司令官ですから命令出す側ですしね。

 さて、ジャックはある時、スカヴと思われる何者かに襲われます。これも不用意に行動してしまったのが仇になってしまったわけですが、実はその何者かはスカヴではなく、地球に残った別の人間たちの組織でした……そしてそのリーダーはモーガン・フリーマン演じるマルコム・ビーチという男……またこれがありがちな展開で「ありがちだな〜モーガン・フリーマンなところもありがち〜」と思いつつも、お約束な感じが好印象です。そしてマルコムが告げるとんでもない真実! あーありがちだなー、でも好印象。ハードなSFファンはこのあたりが気に入らないんでしょうか? まあ、良いですけど。

 どうやらジャックは、自分が狩っていたと思っていたスカヴに逆に操られていたと。むしろ、人間の残党を狩る仕事をさせられていたと。これはとんでもないことですよ! 本来であれば罪の意識に苛まれるでしょうが、そこはコマンダー、とても冷静にマルコムの話に耳を傾けます。その後、マルコムに協力をするようになるのですが、切り替えの早さは優秀さの表れです。素晴らしいですね。決してお話の都合ではないはずだ!

SFっぽい仕掛け、だが残酷な現実

 マルコムとの出会いの後も、ジャックはパトロールを続けるわけですが、その中で自らに許された行動範囲を逸することとなります。汚染地区と呼ばれている場所へと突入していってしまうわけです。しかし、そこは本当は汚染地区などではなかった……ある都合からジャックに足を踏み入らせてはいけない場所だったと。結構な核心的部分にはなりますが、書いてしまうと、そこでジャックはもう一人の自分に出会います。そう、クローン・ジャックです! 自分と全く同じ容姿の男に遭遇したジャックはビビります。「ドッペルゲンガーじゃないよね? あ、俺じゃん!」と思ったか思わなかったか、ジャックは自分との戦いを開始します(比喩的な意味ではなくそのままの意味)。ジャックVSジャックの戦いは凄まじい、何せ互角なのだから……勝負の決め手は世界に対しての猜疑心でしょうか? ジャックはジャックとの戦いを制し、見事にジャックが勝利します! 文面だとどちらが勝ったのか分かり辛いかも知れませんが、つまりジャックが勝ったということです。

 ここでジャックは、汚染地区はそれぞれのジャックの領域だということが分かります。自らのコードネーム<Tech49>というのはつまり、49番目のジャックだということ。なんて残酷なんだ! 自分と同じクローン人間が(そもそも自分もクローンだし)少なくとも49人以上もいるなんて分かったら嫌になっちゃうね。しかも後から分かりますが、相棒のヴィクトリアも同様にクローン。ジャック&ヴィクトリアが1セットでスカヴに量産され、地球の人間狩りをさせられていたわけです!「ひどい話だ! スカヴ許せない!」とジャックは思ったでしょう。むしろ、この事実を知らないヴィクトリアはもっとかわいそう……いや、知らないことが幸せなのかも知れないけども。

 これ以外に、ヴィクトリアは明らかにジャックのことが好きなんだけど、ジャックは記憶の中の謎の女に囚われており、ヴィクトリアに冷たかったり、実はジュリアがジャックの彼女だったり、色々と過酷な状況となるヴィクトリアなため、本気でヴィクトリアはかわいそうな女性です。ツイてなかったとしか言いようがないね。

宇宙人スカヴの謎

 それにしても許せないのはスカヴですよ。どうにもスカヴはぶっ飛んだ科学力を保持している割には、こういった回りくどいことをするサド気質があるようです。なんでサド野郎なのか? わざわざ人間のクローンを作って、時間を掛けて残党狩りを続けているからです。暇なのでしょうか? それとも、別の理由が? スカヴの卓抜した科学力で作られた殺人ドローンを大量生産すれば人類なんて一気に殲滅出来そうですけど……やっぱりサド野郎なんだと思う。

 それからね、もう一つの謎があるわけですよ! これもストーリーの核心に触れる部分ではあるのですけど、ジャックがスカヴの親玉テット(変態のクマではない)をやっつけるためにですね、テットの内部に侵入していくわけですけど、そのテットを破壊する手段が爆弾なわけです。これが強力なインパクト、マルコム爆弾です! そう、マルコムはジャックがテットへ行くことを知って「あれをぶっ壊せるなら間近で見てやりたい、俺にも意地がある。死んでいった同胞の仇を取るために爆弾になる!」と言ったか言わないかは知りませんが、ジャック&マルコムは爆弾を携えてテットに侵入するのです……て、待て待てー、なんで人感センサがないんだ!? 危険物スキャナがないんだ!? やすやすと、テットの内部に侵入出来ちゃうのは安易過ぎて、尺の問題だったのかなぁ、なんて邪推してしまいますが、やっぱり私は宇宙人スカヴの謎よりもスーパーゼビウス ガンプの謎の方が気になります。

ジャックとマルコムの爆発後

 コードネームTech49はマルコムXと共に爆発して人類を救ったわけですが、地球に残された人類は一体どうなるんだ!? 誰もが気になりますよね。別に、特段、特筆すべきこともないのですが、マルコムの部下や保護されていた方々で再出発する感じです。そして、ジャックことTech49と別れた彼女であるジュリアも自分の娘と、新しいジャックであるTech52と幸せな日々を過ごします。チャンチャン♪ えー、本当にそんなオチで良いのか、Tech49も急に不憫になって来たところでエンドロールです。

 そういえば、他のジャックやヴィクトリアたちはどうなるんだ?

本作の最大の見所

 書きたいことは大体書けたのですが、本作で最も素晴らしい見所を書きたいと思います。それは、ヴィクトリアのプールシーンです。月明かりに照らされ、生まれたままの姿で水面を泳ぐヴィクトリアは美しい──アンドレア・ライズボローが美しいのでしょうが、とにかく『オブリビオン』はこのシーンを、むしろこのシーンだけを堪能するためだけに観ても良いのではないかと思われます。それくらいビューティホーであります! なお、オブリビオンって<忘却>という意味だそうです。さっき知りました。

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