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悪戯と正義『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』を鑑賞しました《評価・感想・レビュー》

青春らしい映画で市原隼人

 邦画の<三大何やっても同じに見える俳優>として、私が掲げているのは木村拓哉と藤原竜也と市原隼人で、何となくこの映画を観ようと思った時も「市原隼人かー、どうだろー」と思って観たのですけど、いやあハマリ役で素晴らしかったです。本作の主人公は市原隼人以外にない! 馬鹿馬鹿しい青春ストーリーにとっても向いている演技で、爽やかで、良かった。ママチャリという信じられないあだ名を付けられている少年を抜群のセンスで演じていて、私は非常に感心しました。

 本作は元々、FC2ブログでくろわっ氏が記述していたエッセイがモデルとなっている作品のようですが、こんな青春いいなぁと純粋に思いましたね。私が高校の頃はあまりにブラックで、人に語っても全く面白みがない。現在、社会人で働いていて残業もあるけど、当時の高校生活の方がよっぽど残業してた。ブラック企業顔負けの学生生活だった。耐え切れないで辞めた生徒も沢山いたが、ここで書くにしても余白が足りないので、それはまたの機会にしようと思う。さて、映画の話をしなければならない。

 ネタバレもありますので、以降の内容にはご注意ください。まぁ、大したことは書きませんし、ネタバレがどうのの映画でもありませんけど……。

あらすじ

 悪戯が大好きな高校生のママチャリ(市原隼人)は、法定速度を超過して指導を受けた仲間の仕返しをするために駐在さん(佐々木蔵之介)にあらゆる悪戯を仕掛ける。しかし、駐在さんもその大人げない性格から、面と向かってこの悪戯に悪戯で応戦をする。ここに、僕たちと駐在さんの果てしない悪戯戦争の火蓋が切られた。果たして、この戦いの果てには何が待ち受けるのか?


ぼくたちと駐在さんの700日戦争

気楽に観られる馬鹿っぷり

 絶対にわざとだと思うんですが、ストーリーや演出面の全てが超気楽で、悪い人も出て来ないし、映画的な葛藤もないし、勧善懲悪ものでもないし、淡々と悪ガキ達が送る日常を何のストレスも抱かずに観ることが出来ます。よって、ハラハラドキドキやカタルシスを映画に求める人にとっては超絶不向きかも知れませんが、休日の午後にカップラーメンでも食べながら観るなら抜群に適した作品なんじゃないかと思います。

 私はストーリーもさることながら、演出面がとても気に入りました。随所に挟み込んで来る突っ込みどころが突っ込み待ちなのに誰も突っ込まないところが良い。特にお気に入りのシーンが、主人公グループの一人がプールサイドで友人の家から盗んできたクマのぬいぐるみを鞄から取り出すところです。明らかにクマのぬいぐるみが入らない小さな鞄の中からひょいとでかいクマが出てくるのですが、そんなこと誰も突っ込まないんですよね。これが面白くてたまらなくて、三回同じシーンを見返してしまいました。唯一、ママチャリだけがその鞄とクマを見比べて「え? どうやって鞄の中に入れてたの!?」と目で訴えてるのですが、それはそのままスルーされます。これも良かった。素敵な演出です。馬鹿だなぁーと思います。本当に。

 私は全然関係無いですが、猪瀬元東京都知事の5000万円が鞄に入らないシーンを思い出してしまいました。全然関係無いのですけど、なんか似てた。

物語の核となるエピソード「花火盗人」

 ブログの記事でも人気のエピソードであった「花火盗人」というお話が本作の終盤で描かれるのですが、端的にどういう内容か書きますと、病院で手術を受けなければならない少女が手術を受けたがらないのに対し、主人公グループの一人がその女の子に「この病院から打ち上げ花火が見られたら、手術を受けるんやで!」というような約束をし、何とか花火を打ち上げてやろう! と、みんなで躍起になるお話です。それで、打ち上げ花火は高校生になんか調達するのは難しいものですから、花火大会の会場から盗んじゃおう! ってなるのですけど、まあこれは悪戯ってより犯罪に近いですからね。褒められたものでは無いですが、これが最近の映画で公開されたら叩かれてたかも知れませんねー。全く、世知辛い世の中ですが、PG12で何とか許してくださいって感じでした。なお、原作ではこの窃盗の内容は幾分複雑化されているそうです。法に触れないように。映画だと完全に違法っぽかったですけど。

 このエピソードの中で、花火屋の親方役として竹中直人が出てくるんですが、もう竹中直人が最高過ぎます。この竹中直人を観るために本作を観ても良いのでは? とオススメ出来るくらいに馬鹿馬鹿しいです。彼が、凄く真面目な表情で滑稽な演出を織り交ぜながら演じる親方は、最高にGoodでした。特に、親方がママチャリとの会話で昔話をする時に「え、長くなるよ?」というセリフが三回転するのは、劇場で観てたら間違いなく笑ってしまっていたでしょう。実際、死ぬほど長くなる話をしていたようですが、そこはカットされます。私は個人的に親方の話を聞きたかったなと思います。二時間でも三時間でも、ディレクターズカットで親方の話を入れてしまうのもありじゃないかと、また私自身も馬鹿馬鹿しい考え方に囚われてしまうのでした。

原作も気にはなっているのだが……

 本作の映像化は尺の関係もあって、悪戯が単純化されているようなのですが、原作ではこちらで描かれているエピソード以外にも多数のストーリーがあって、ちょっと興味が引かれたので調べてみました。そうしたらビックリ、原作は20冊以上あるとのこと! しかも、2006年から発表されているけども、現在も話は進んでいると! 次は26巻が2017年7月に発売されると! 果てしねぇー、簡単には全部読み切れない気がしますし、私は積ん読が500冊以上あるので、しばらく後に読もうと思います。すみません。

 映画は肩の力を抜いて観られますので、先にも書いた通り、のんびり出来る時に鑑賞するとよろしいかも知れません。

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