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映画の本編前映像(予告・CM)について好意的な意見が増えてきている? 数年前までは叩かれまくってたものだが……

話題の映画前予告&CMについて

 もう昔から議論されてて、既に肯定派と否定派の意見も出揃ってしまったかと思っていたのですが、やっぱり定期的に話題になりますね。映画の本編前予告とCM。

 話題の発端となったのは以下のブログ記事です。ここで上手いな〜と思ったのは小島アジコ氏が本件に対してはとてもフラットな、中立的なスタンスだという点です。

orangestar.hatenadiary.jp

 まあ、勝手に私がそう推測しているだけですが、漫画の描き方からはどちらの派閥でもない、そう読み取れますね。それで余計にブックマークコメントでの盛り上がりが賛否両論で、読んでいて面白いです。

 これまでにもはてブで似たような内容が(何度か)話題になってましたけど、従来と比べると映画館側を擁護する意見が増えているかな? という気がします。

anond.hatelabo.jp

togetter.com

それぞれのメリットは何があるだろう

 皆さんがコメントで書いている通りに、この上映の仕組みにはメリットもデメリットもあります。私見も踏まえて、色々と羅列してみましょうか。

☆予告・CM(シネアド)がある場合 一般的なメリット
  1. 映画本編に入るまでの心の準備(個人差のある非常に感覚的なもの)。
  2. 本編が始まる前までに用事を済ますことが出来る(コンセッションの利用、お手洗いの利用など)。
  3. 個人的な事情や渋滞・公共交通機関の遅延などによって遅刻してしまった場合の猶予。
  4. 予告があることによって、知らない新作映画を顧客が認知出来る。劇場側は宣伝が出来る。
  5. CMがあることによって、劇場には広告収入が入る。企業側は集中力の高い顧客に広告を認知して貰える。
  6. 本編以外の映像が入ることにより、上映時間の調整が出来る。エンドロール含めて113分の映画だった場合、予告・CMで120分としてタイムテーブルの調整を行う。

 また、ここには挙げなかったものとして、イレギュラー対応の猶予時間という需要な側面もあります。

 映画館にはトラブルが付きものなのですが、「指定席被り」や「フード・ドリンク溢れによる座席カバー汚損」「嘔吐物処理」などの対応がある場合、とてもじゃないですが本編始まってからの対応は周囲に迷惑を掛け過ぎます。だからといって、予告中だから良いってものでもないですけど、本編開始までの約10分程の時間でトラブル対応が出来れば、映画を全編楽しむという顧客ニーズに差し障る可能性は減る──という話は聞いたことがありますね。

 私も昔、後ろの席の人がドリンクをぶち撒けた時に映画館従業員に対応をして貰ったことがあるのですが、本編開始前で助かった記憶があります。

 ここまでのメリットは顧客側のメリットとしては「新作情報が得られる」くらいしか、本質的なものはないような気がしますが、まぁ良いでしょう。

☆予告・CM(シネアド)がない場合 一般的なメリット
  1. すぐに本編が始まるので時間をロスしたという感覚がない。
  2. 映画泥棒がなかったら泥棒扱いされなくてストレス感じない。
  3. お金払ってるのに広告を見せられるという心理的なストレスを感じない。

 うーん……もっと沢山あると思ったのですけど、余計な映像を見せられることによるストレスが大半を占めますね。ただ、それがとにかく大きいでしょうから、単純に両者のメリットだけを比べるわけにもいかないようです。

 だとすると、どうしてここまで予告やCMが入っていることに目くじらを立てる人がいるのでしょうか。理由を考察すると、やはり<対価に見合った内容ではない>という印象が強いのが要因では? と思います。

 そもそも、映画料金は簡便な娯楽として割り切れないくらい高額です。一般料金が1,800円ってのは、おいそれと簡単に出せる金額ではなく、ある程度の気合いを持って然るべきの支払い金額ではないでしょうか。とは言っても、サービス料金の利用者も当然多いでしょうけど、それでも大人であれば1,000円は超えますからね。

 そうした料金を支払ったにも関わらず、自分が本来購入した筈の<特定の映画を観る権利>に付与されて、余計な映像が付いてくるのは心理的な納得がいかない。自分が楽しむべきものは映画の本編で、それが目的で料金を支払ったのだから他の映像はいらない、というのが無意識的なストレスの原因になっていそうです。

 これに対して妥当感のある解決をするには、「予告&CM付き上映で割引料金の設定」か「予告&CM抜き上映である程度の料金加算」をするしかなさそうです。後者が受け入れられやすそうですが、映画館のスクリーン数というキャパシティと、上映回数の制限から難しそうな気はします。1日は24時間しかありませんし、付与映像のあるなしで上映時間を分けるのは現実的ではないですからね。難しい問題です。

もっと映画館的なコンテンツとして魅力的なものにすべきでは?

 一番理想的で私が好みの解決策はこの見出しの通り「魅力的なコンテンツとして活かす」という発想です。映画の予告は仕方がないとして、CMコンテンツはもう少し何とか出来るのではないでしょうか?

 その点、海外でのCMって結構面白いものもあるんですよ。以下の動画をご紹介します。


Smart: Smart Cinema Ad

 こちらはSmartという車の紹介CMです。スクリーンのカーテンを敢えて閉めて、その隙間に車を投影し、コンパクトなスペースでも小回り抜群! って部分を魅力的に紹介してくれます。鑑賞側も驚きを持って観ることが出来て、意外性もあります。ただ、現在は全国的にスクリーンマスクの稼働を止めている劇場が増えているので、同じようなものは困難かも知れませんね。


MCL cinema Hong Kong Mobile phone car crash advertising effective

 こちらは運転中のよそ見は厳禁よ! という啓蒙CMです。なかなかすごい発想ですが、日本では不可能そうですね。クレームも多発しそうですし、しかしインパクトは絶大です。

 こうした映像効果を存分に使用する映画館ならではのコンテンツは制作にお金が掛かり過ぎる側面もありそうですが、是非ともやって頂きたい。あとは、鑑賞している人がお得感を得る工夫なんかも出来ると良いですね。「このCMを観た方にはセブンイレブンのドーナツが100円引きで購入出来る! 入場時に受け取ったフライヤーを持ってコンビニへGO!」とか。どうでしょう。短絡的過ぎるかな。

実は映画館のCMって昔からあった……

 よく「最近の映画館のCMってさ〜」という意見もありますけど、シネアドというもの自体は1950年代くらいからあって、当時はスライド広告みたいのを流してたんですよね。思ったより歴史が深いものなんです。だからといって全面肯定すりゃいいじゃん、という話ではないですが、仕組みとして廃止するのも難しい以上、鑑賞する側は「CMも楽しんで観るのが良いんじゃない?」と思いますし、制作側には「もっと顧客が楽しめて印象に残って観て良かった〜! と思えるシネアドコンテンツ作ろうよ!」って思います。上手く共存関係が出来ていけば良いのですが、歴史があるだけに従来のやり方を変えるためには何らかのブレイクスルーも必要ですね。業界の方には頑張って頂きたい。

 最後に、各種ブコメやインターネットで散見する意見で、映画館がCMを流していることによって映画料金の値上がりを抑えることが出来ているという話。これって、本当なんでしょうか? 少なくとも私はそういった話を目にした覚えがありません。

 映画料金の値上がりや調整は、国の消費税設定によるところが一番大きく、あとは劇場設備の投資(IMAXやMX4D、4DX、3D上映など)に対しての維持費をペイ出来るかどうかの部分で行われている筈です。CMで映画料金の下支えが出来るほどの収益はない筈なのですが、勘違いかも知れませんので、もう少し調べてみようと思います。

 ちなみに、次の増税で映画料金の値上がりは取り沙汰されそうです。これで値上がりとなれば、更に映画離れが進んでしまいそうですが、どうなるんでしょうね。

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