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金魚による金魚のための蹂躙『渋谷金魚 1巻』を読んだ《評価・感想・レビュー》

渋谷、金魚に喰われる

 今回は『渋谷金魚』という作品の紹介です。こちらを購入したキッカケはAmazonのオススメに出ていたからで、決め手は表紙の金魚が可愛かったから……なのですが、この金魚のもでんとした愛くるしさはあまり他人には理解されないかも知れませんね。

 まあタイトルもキャッチーですし、帯のコピー「この金魚、人を喰います。」ってのも上手いことやったもんだなと。衝動買いさせるには丁度良い感じの、やるなスクウェア・エニックス。個人的にはこういう感じ大好き。

 さて、以下より内容紹介や感想などがございます。ネタバレ箇所もあるかと存じますので、未読の方はご注意頂きたいのですが……正直なところ、1巻に関しては金魚出現の理由や目立った事件など、ほとんど語られていないので、この先の文章を読んでも特に問題ないかと。

あらすじ

 とっても退屈な毎日を過ごす映画だけが趣味の平凡少年、月夜田初(つきよだ・はじめ)。しかし、ある日急にその退屈な日常は破壊される。渋谷に突如として現れた大量の人喰い金魚によって……。

 あまりに突然のことに動揺を隠せない初だったが、渋谷から脱出するため覚悟を決める。果たして初は助かるのか? 未曾有の大パニック・サバイバルホラーが幕を開ける!

まさに突如として、金魚が登場!

 主人公の月夜田くんがDVD屋に立ち寄っていたところ、同級生の美少女がナンパされており、それを助けたところ、金魚が出現する! という──この、物凄い脈絡のなさは魅力の一つだと思います。大抵の漫画的世界だと、ある程度の伏線を乗り越えて<異変>ってのが起きるものですが、本作に関しては、普通に道を歩いていたら空飛ぶ金魚に遭遇した、くらいの脈絡のなさです。

 しかし、こういった日常の崩壊という世界を描くのであれば、敢えて説明を少なめにし突然カタストロフィなステージへと登場人物を放り込んだ方が、むしろ説得力があるんですよね。それから、説明が少ないことによって、読者に「どうしてこうなってるんだ? 何が起きてるんだ?」と考えさせることによって、感情移入を促す効果もあるでしょう。

 説明なく日常が崩壊するのは最近の漫画では多いですが*1、この予定調和な崩壊をどのような手段で覆してくれるかが今後の見所となってくるのではないでしょうか。

人喰い金魚について

 さて、人喰い金魚についてですが、先述した通り、1巻の段階では出現理由や効果的な対策などは不明のままです。様々な種類の金魚が現れるのは目に見えて楽しいですし、バカでかい金魚がフンをするシーンは、その効果も相まってこの巻のハイライトといって良いのではないかと。

 ひとつ不明なことが、出現理由などは置いとくとして<金魚が喋る理由>これが気になりますね。なんか「お母さん」とか「どこなの」とか「お腹すいた」とか色々と喋ります。何なのでしょうか? この意味不明の言葉を喋る謎のクリーチャーという存在がそのまま『GANTZ』を彷彿とさせるのですが、あちらは単純にクリーチャーの鳴き声的なものだったのに対して、本作はある程度の理由が用意されてるのでしょうけど……。

 金魚ってノスタルジーを感じさせるものですし、古めかしいものを想起させます。この金魚の中にはきっと怨念がおんねん……今は勝手な妄想でそう考えてますが、何を起因としたものなのかは現状では想像も付きません。もし、金魚の出現理由が明確に語られなかったら、個人的には落ち込みます。

エピソードを分ける群像劇として

 あらすじに書いた月夜田初くんですが、本作の主人公なのかどうなのか1巻を読み終わった現在では微妙な感じがしてます。というのも、1巻の最終話で次巻では主人公が変わる予告がされており「エピソード2開始!」みたいなことが書いてます。つまり、ある程度の話数で区切って、主人公を切り替えていく群像劇方式なのだと思われます。物語を多面的に語れますし、最終的に全員が集結するという演出を施せばドラゴンクエスト4方式として楽しみな流れとなります。ただ、登場人物により金魚出現の事象を語っていくのであれば、物語の進行スピードも落ちてしまいますし、その辺りは作者の力量が問われると思いますので、今後の展開がどうなっていくのかが楽しみです。【管理番号:あ001-001-001】

*1:有名どころだと『GANTZ』や『ハカイジュウ』などでしょうか。逆に、日常の崩壊を丁寧に描いていたのは『アイアムアヒーロー』とか。

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