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没個性テーマパーク:EXTRA

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世界観の広がりと炎竜(レッドドラゴン)との極限の死闘を描く『ダンジョン飯 4巻』を読みました《評価・感想・レビュー》

モンスターを料理にする漫画にマンネリはないのか

『ダンジョン飯』はモンスターを料理して冒険する漫画だが、それがずーっと続いてしまうと、さすがにマンネリ化して飽きてしまうのではないかと個人的には危惧していた。なんせ既に4巻だ。大丈夫なのだろうか。

 本作の1巻に関しては着眼点で、これまでのファンタジー漫画とは一線を画した内容で注目を集めていたが、これを一発ネタで済ましてしまわないようにすることを作者も考えていたのではないかと思う。本筋は<モンスター料理=ダンジョン飯>であり、そこをブレさせてしまってはならないが、それに加えて冒険者が旅をする舞台であるダンジョンの不思議や楽しみ、逆に残酷な面も描くことによって、純粋に先が気になるファンタジー漫画として成立し、魅力的なストーリー展開とすることも出来ている。と、私は4巻を読んで感じた。

 そういったわけで、以下よりネタバレが含まれる内容となるので未読の方はご注意ください。

ファンタジーといえば! 種族間の争いは必須!

 我々の現実世界でも肌の色が違うことで人種間の争いが巻き起こりますが、ファンタジー世界では肌の色どころか身体のカタチすら異なる種族が数多に存在するため、世界の歴史=戦争の歴史といっても過言ではありません。現状、ダンジョン飯で登場する種族は、トールマン・エルフ・ハーフフット・ドワーフ・ノーム・オーク・コボルト。えーと、ホビットはいたっけ? とにかく、これだけ様々な種族が入り乱れていたら、共通言語はあるようですが基本的には言語も違うし、そりゃ相容れないのではないでしょうか? 文化・宗教なんかが違うとぶつかりやすいし、そもそも価値観が異なってますね。道中で出会ったオーク族は、生きるためであれば他者から奪うことも躊躇わないようでしたし、エルフもエルフで魔術に傾倒し過ぎている部分は他種族から疎まれている様子でした。よって、みんな違ってみんな良いとはならずに、種族間のコミュニケーションは難しい様子。しかし、その中にあって主人公のライオス一行は様々な種族がそれぞれの欠点を補い合って上手く成立しているのは非常に稀有な例なのでしょうね。ライオス自身も本巻で仲間それぞれに感謝を述べるシーンがありましたが、とても感慨深いものがありました。

 今回、ノーム族のタンス氏が本作の舞台となる<島>で発生している問題を歴史とともに語っており、平和に見える地上にも不穏な空気が渦巻いていることを明示していました。

 もしかして、ダンジョンの話が落ち着いたら地上進出もあり得るのか? なかなか気になりますね。私の予想としては、今後ダンジョンの中で何かが起こり、地上にもモンスターが溢れ出てしまって……なのですが、そうなると余りに収拾が付かなくなってしまいますかね。想像は膨らみますが……外の世界にも色々な事情があることが分かる珍しいエピソードでした。

炎竜(レッドドラゴン)との死闘

 この物語の本来的な目的は、ライオスの妹のファリンの救出です。レッドドラゴンに食べられて未だに腹わたの中にいるはず……とのことだったのですが、ファリンを食べたドラゴンがデカくて強い、火も吹くし気性も荒いのです。機嫌の悪い時のジャイアンくらい危険度が高い。4巻では遂にターゲットのレッドドラゴンと遭遇し、壮絶な戦いを繰り広げることとなります。

 この戦いについてなのですが、これまでのモンスター達と比べても非常に厳しいものとなりました。さすがキング・オブ・モンスターのドラゴンさんや! 簡単にはことが済まない。なんと、この戦闘シーンを描くのに6話も消費しています。とはいっても、スムーズに目紛しく展開していくので、飽きることはありませんでした。

 さて、このレッドドラゴンとの死闘を読み進めていて、『ダンジョン飯』に対する私の認識が大きく変わることとなりました。

「この漫画は気軽にモンスターを食べて、蘊蓄を語って、ハッピーで楽しいファンタジー世界を描いているように思ってたけどそうじゃなかったんだな。奥深い設定と、ダークな世界観とも繋がっていて、ファンタジーというジャンルにとても真摯に向かい合って作り込まれているのだな」と。

 レッドドラゴンの設定一つとっても、なかなか興味深いものがあります。ドラゴンは如何にして火を吹くのか? 体の中に燃料があって、舌打ち(タンギング)で着火する、とか。ドラゴンを切り売りすることで大層な金になるが、ドラゴンが大き過ぎて退治してから運ぶこと自体に多額のお金が掛かってジレンマとなっているとか。この一つ一つの設定のきめ細かさ、緻密さって、相当に凄いんじゃないでしょうか。

 結果としてレッドドラゴンは見事に倒され、ファリンの蘇生にも成功するのですが、ここでマルシルが禁忌の黒魔術を駆使するのもワクワク感を増す効果的な演出ですよね。マルシルはエルフとしてはエルフらしい真っ当なタイプかと思ってましたが、ライオスと同じくらい変人だったということで。そうなると、まともなのはチルチャックだけになってしまうけど、今後、ファリンのチーム内での役割*1も注目していきたいと思います。

ファリン救出後の展開は?

 既に目的の一つが達成され、ここから一旦ダンジョンの外に出ることになるのではないかと思われますが、その前に一筋縄ではいかない難関がありそうですね。ライオスが<生ける絵画>の中で出会ったダークエルフがチラッと登場してますし、なんかまた怒られちゃうのではないか? マルシルが黒魔術も使っちゃったし、一体どーなっちゃうのでしょうか? 今回はモンスターを食べる描写の少ない巻でしたが、次巻以降はまたセンシにも料理の手腕を発揮して欲しいですね。【管理番号:く001-001-004】

*1:ボケとかツッコミとかの、しかし既にボケっぽい怪しさは出ているが。

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