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没個性テーマパーク:EXTRA

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豪華キャストのほんわか演技が楽しめる『恋妻家宮本』を鑑賞しました《評価・感想・レビュー》

その鑑賞は、タイトルの誤読から始まった

 見出し文は作品コピーをパクっただけで、あまり深い意味はありません。ORANGE RANGEがbounceで「パクろうぜ!」っていってたのを不意に思い出してしまいました。全く関係ない話でしたが、現在公開中の『恋妻家宮本』を鑑賞しました。映画の感想の前に誤読についてですが、私はずっと映画を観るまで<こいさいかみやもと>ではなく<れんさいかみやもと>だと思っていたんですよね。<れんあい>と<れんさい>を掛けてるのかと勘違いしていて、映画を観る直前に気が付いたのです。もの凄くどうでも良い話ですが、私は誤読アレルギーが激しくて、漢字を誤った読み方するのがとても苦手で恥ずかしくなります。この間も少し危なかったのですが、「老舗」という漢字をずっと<ろうほ>と読んでいたのですが、会社の同僚に「<しにせ>では?」と指摘を受けて「あ、しにせって聞いたことあるし意味も知ってるけど、あれー?」となって調べてみると、「老舗」は<しにせ>でも<ろうほ>でもどちらの読み方も正しいようです。危なかったけど、一つ知識は付きましたね。以下、ネタバレに繋がる内容が含まれる場合がありますので、未鑑賞の方はご注意ください。

あらすじ

 息子が結婚を機に家から巣立ち、初めて2人きりとなった宮本夫妻。これから新たなスタートとなるはずが、夫の宮本陽平(阿部寛)は、妻が隠し持っていた離婚届を見付けてしまう……。一体どういうことなのか? 妻を問い詰めるべきなのか、知らないふりをした方が良いのか。これは夫婦生活の危機!? そこから始まる、可笑しくも愛おしい夫婦の物語とは──?


「恋妻家宮本」予告

とにかくキャストが豪華で驚いた

 映画を観る前はタイトルを間違っていたくらいですから、予告篇もまともに観てませんでした。阿部寛と天海祐希が出演していて家族愛が描かれるコメディということだけで鑑賞を決めたので、他のキャストの方はあまり調べてなかったのだけど、実際に観てたら菅野美穂、相武紗季、佐藤二朗、富司純子、工藤阿須加などなど豪華キャストが脇を固めています。佐藤二朗は大好きなのですが、全く前知識がないで登場されると正直、笑ってしまいますね。どうしても『勇者ヨシヒコ』シリーズの演技を思い出してしまいます。今回はキャスト陣の演技を拝見していて、不自然さを全く感じませんでしたので、演技が気になって観てられないということはありませんでした。案外コメディの方が演技気になると引っ掛かっちゃいますからね、そう考えると安心して観られた作品かな。菅野美穂と相武紗季は相変わらず美人ですね。どちらもご結婚されましたが魅力は健在といったところで。

離婚届から始まるということだったが……

 キャッチコピーというか、簡単な説明文だと「離婚届から始まる!」的な言葉を見ていたので、物語冒頭で夫が妻に離婚届を突き付けられて離婚の危機に陥った上で物語が動いていくことを想像していました。しかし、実際は夫が離婚届を見付けてから妻にその話をするまで、結構な尺を消費しています。どうやら、離婚届を見付けたことで悩みを深める主人公であり夫である宮本陽平の姿を描くことで夫婦の在り方や結婚とは何かを描く内容だったようです。もう少しドタバタ劇になるのかな、とも思ってましたがドタバタは特になく、むしろ淡々と進みつつ宮本陽平はどんな人生観を持っていて、結婚生活をどう送ってきたかが丁寧に描かれていました。また、宮本陽平の周囲でも色々と事件が起こるので、それらを消化しつつコメディ(クスッと笑える要素)を含めつつお話が進みます。よって、ドキドキするようなスリリングさは演出として微塵もありませんが、そのためにご年配の方々も安心して鑑賞が出来るだろうなという印象を受けました。まあ、もともとそちらの方々向けに撮っているでしょうけど、可笑し味の描き方はさすが遊川和彦だな、と。監督作は本作が初めてのようですが、普遍的な世界を描く点では長けていたのではないでしょうか。

宮本陽平の周囲で起こる事件について

 主人公の宮本陽平は職業が教師なのですが、教師としても一つ問題を抱えます。ある生徒の親子関係が上手くいっていないことに起因するのですが、少し複雑なのでここでは端折りますが、簡単にいうと生徒が私生活で母親に会えなくなってしまう出来事があり、父方の祖母に一時的に預けられるが、祖母とも上手くいっていなくて悶々としている、なんて感じです。宮本陽平のプライベートの問題とはあまりリンクしないのですが、教師になるという選択を宮本がしたのは結婚を決めたタイミングだったので「何故、自分が教師となったのか、本当にこれで良かったのか」「自分は果たして教師に向いていたのか?」といった内容を生徒の問題を材料にしながら描くことによって、その選択をした自分を見つめ直し、人生の岐路である結婚についても見つめ直すといったような意味合いがあったのではないかと感じます。実際、生徒の案件が片付くことによって、夫婦間の問題も解消に向かうシークエンスが描かれていきます。

 また、別の事件としては宮本陽平が通う料理教室で、同じグループの女性2人が抱える問題があります。これは宮本陽平が首を突っ込んで解決に奔走するタイプの案件ではないのですが、この女性2人が男性に対して(1人は夫、1人は彼氏という違いはあるが)どのように接しているのか、もしも女性が離婚届を出すという決意をした場合、どんな決心をした上でなのかを意見として聞くことができます。第三者からの意見となりますから、結婚生活を終えてしまうかも知れない1人の男にとっては、それこそ有り難いもので、当たり前ですが宮本陽平に親しい友人がいたとしても簡単に「妻と離婚しそう」なんて相談は出来ないはずです。熟年だし。そういった視点で考えると、距離感として料理教室で学ぶ同じグループの女性は相談相手として適任であり、これ以上ない存在であるといえますね。

吉田拓郎の曲がまたしんみりして合っている

 メインテーマとして吉田拓郎の『今日までそして明日から』が使用されてますが、これがまたストーリーに合ってて良かったですね。CDが欲しくなりました。また、エンディングの演出でこの楽曲が効果的に使われるのですが、昨今の映画ではあまり観ないタイプの演出でしたので驚きました。楽しい気持ちになりますが、遊川監督思い切ったなぁと素直に感服しましたね。

 さて、全体を通してですがほんわかしたムードで時にしんみり、普通に<良い話>として鑑賞することが出来るので、ゆるいコメディが好きな人にはオススメ出来る作品です。

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