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没個性テーマパーク:EXTRA

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過去の自分を超えろ『REPLAY & DESTROY 第3話「自己ベスト」』を観賞した《評価・感想・レビュー》

自己ベストは超えられないのか?

 得意分野における自己ベストってのは、そのまま自らのプライドとして返ってくるし、ある意味では己の土台を保つための礎にもなる。ただ、それを栄光として残してしまうと、現在の自分は過去のベストを超えられない人間になってしまう可能性がある。それは過ぎ去りし自分の方が優れていたと自ずから認めてしまうようなもので、その認めとは、無意識なものだけど、意識的に気が付いてしまうとこれほど無様な感情はない。

 人が自身のベストを超えられない時は、理由付けとして年齢のせいにしてしまったり、怪我を負ってしまったことや、病気のせいにしたりする。しかし、いずれの場合も自己ベストを更新出来なくなってしまう本来的な理由は、自らが外的・内的な要因を条件として設定し、限界(上限)を決めてしまうからだ。条件も限界も設定しなければ自己ベストを超えることが出来る可能性はいつだってあるはずなのだから。

『REPLAY & DESTROY』は3話目でもこれまでと変わらずに緊張感が一切ない。だが、相変わらずゆるーい雰囲気ながらも、物語の端々で「人間っていいなぁ」と思わせてくれる。『まんが日本昔ばなし』ではありませんが……。

 以降、ネタバレに繋がる内容がございますので注意してください。

 あらすじ

 黒ひげ危機一発に興じる横山要(山田孝之)と真野真広(林遣都)、勝負は佳境となるが、あえなく無慈悲な決着を迎える。この世に神はいないのか? 黒ひげバトルを終えた横山が外出すると、何と道中、一筋に伸びる大量の枝豆を発見。しかも中身は空だっ! これは事件のにおい、ヘンゼルとグレーテルだ! と、喜び勇む横山だったが、その枝豆ルートの先で見付けたのは元砲丸投げ全国大会出場経験あり将来を嘱望されていたアラサー女性の沢木(石橋けい)だった。しかも泣いている。

 夢破れ、これまでの砲丸投げの経験を自虐ネタとして消費している彼女、会社では宴会芸のダシにされ、打ち拉がれている。果たして横山は彼女を救うことが出来るのだろうか?


3話予告

 砲丸投げの知識がない

 あらゆるスポーツの中で、(あくまで私個人の話ですが)投擲系スポーツって馴染みが薄いし事前知識もなく、なかなか興味も持ち辛いもの。今回の第3話では沢木が非常に砲丸投げに対しての熱意がある人だったので、何故かドラマを観ているだけでこちらにも知識が付いてしまった。例えば、砲丸の重さは女性が4kg、男性が7.260kgとなっているそう。へぇー、知らなかったぞな。また、砲丸投げ専用のシューズなんかもあるそうで、摩擦で擦り減るから底がぺったんこなんです。ちなみに全てAmazonで購入が可能なんだと。宅急便も砲丸は重そうだな。

 私の印象だと、砲丸投げは日本の競技人口が少ないような気がするけれど、海外ではメジャーなスポーツなのだろうか? オリンピックに採用しているくらいなのだから、ある程度の知名度はあるはずだけど。砲丸に限らず重い物を遠くに投げることに執着している人もいるようだし、国によっては国技のところもあるのかも? ガロン・スローとかはマジで凄いと思うし。私だったら2秒で骨折しちゃいそうですが。

 しかし、砲丸ってロマンがありますよね。重くて丸いものって何となくそういう気がして、私にとっては砲丸も水晶もボーリングの球も、全て同程度にロマンを感じる。何でやろ、丸いから地球を連想するのだろうか? 今度、そのあたりも調べてみたいと思う。

好きになったことを嫌いになることなんて出来ない

 沢木は元々、中学時代は書道部に属していたが、手首のスナップに見込みがあるという理由で砲丸投げ部の顧問にヘッドハンティングされたという経歴がある。その方の見る目があったのか、元来身体能力が優れていたのか、文化部から運動部への華麗なコンバートは成功し、類い稀な砲丸投げの才能が開花して、メキメキと実力を付けていった。沢木は、その方面では知らない人が少ないくらいの活躍をする選手となっていくのだが、しかしその世界では一番にはなれなかったようだ。その経験が尾を引いており、過去の自分と対峙しながらも本当に砲丸投げが好きだったことを思い出すために、横山の手引きで自己ベストを超えるため再び挑戦をする。

 これって、とても健気な話なのだけど、沢木自身が自己ベストを超えることをどう捉えているのかが明示されないので、最後の挑戦の際にどのように己と向き合ったのかは分からないままだ。「私、絶対自己ベスト更新する!」みたいなセリフはない。ただ、彼女が砲丸投げのことを本当に好きで好きで堪らなくて、真摯に向かい合っているという姿勢は伝わって来る。これがどの競技やスポーツに限らずに別の分野であっても、好きであることは捨てないで愚直に続けることが大事なことであると気付かせてくれる。

「元は関係ねぇだろ、結果好きになったんだから」

by 横山要(REPLAY & DESTROY 第2話より)

自己ベストよりも大切なことは

 結局のところ、沢木は自己ベストを更新出来ないで終わるのだが、しかし名目上、記録更新を目指すために行動をしたし、改めて砲丸投げという競技と向き合ったことでとてもスッキリとしたようだった。過去との決別というより、本当に自分が好きだったことと改めて向き合うことをしたのかも知れない。何せ、青春を全て掛けた勝負だったのだから。この横山の手引きが切っ掛けとなって沢木はこれからは自分の好きなことを恥じず、自虐の道具にすらせずに生きていくはずだ。

 私ももう一度、本当に自分が好きだったことと向き合った方が良いのかなと思った。大事だよね、そういうこと。

 なお「限界って誰が決めたんだ? 限界を人間が決めるから、人は限界を超えることが出来なくなる。限界はない」みたいな文章があったような気がしますが、尊敬する舞城王太郎の小説『SPEEDBOY!』でぶっ飛んだ読書経験をされることもオススメです。そういえば、これもスポーツ系小説といえますね。それなりに。走ることを限界まで突き詰めると、人はどうなるのか? って内容です。私も改めて読みたいと思います。【管理番号:D001-001-003】

 

 第4話の感想は以下から。

日常の謎を喚起させる『REPLAY & DESTROY 第4話「星ひとしずく」』を観賞した《評価・感想・レビュー》 - 没個性テーマパーク:EXTRA

 

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