没個性テーマパーク:EXTRA

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魔物食の入口を軽快に描く『ダンジョン飯 1巻』を読んだ《評価・感想・レビュー》

RPG愛好者の素朴な疑問

 小学生の頃にRPGをやっていて気になっていたことがある。宿屋などに長期間泊まれない場合、冒険者達は不眠不休なのか、ご飯すら食べていないのか、馬車の中で食べてるのだろうか? しかし、食料なんて買った覚えはない。薬草とか毒消し草くらいしかないだろうし、魔界(地上でない場所)なんかに入ったら、簡単に食べ物を手に入れることも出来ないだろう。一体どうしているのか。

 そんな漠然とした疑問に対して答えを出してくれたのが、九井諒子が描く『ダンジョン飯』ではないだろうか。この目の付け所は相当な斬新さがあったと感じる。

 以降、本巻のネタバレが含まれるので未読の方は要注意。

あらすじ

 ダンジョンの奥深くに突入したライオス一行はとっても強いドラゴンに遭遇する。「ドラゴン倒せるよな……」と思っていたライオスだったが、お腹が空いていることもあるせいか、次々に仲間たちが倒れていく。挙げ句の果てにはライオスの妹であるファリンがドラゴンに食べられてしまう。失意の底で全滅してしまったライオス一行だったが「ドラゴンって消化に時間が掛かるからファリン助けられるんじゃね?」ということになる。お金もアイテムも失ってしまい、仲間の中には辞表を提出しライオスチームを辞める者もいた。八方塞がりになろうとしていたライオスたちだったが、そこでリーダーのライオスは新たな決意をする。

『そうだ! モンスターを食べて食費を節約しよう!』

 かくして、ダンジョン飯の始まりである……ファリンを助けることは出来るのか? モンスターを食べてお腹を壊さないのか? 様々な疑問を抱きつつ、誰も成し得なかった冒険が始まる。

スライムって喰えるのか?

 あらゆるRPGで最弱モンスターとして扱われているスライムであるが、やはりそれはドラゴンクエストの影響が強いだろう。本来は不定形であり、あらゆる攻撃を無効化してしまう存在であるから「スライムは実際だと強いのではないか?」なんて説もあるのだけど、本作で描かれているスライムに関しても、なかなか凶悪な設定がなされている。突如として現れ、人間に纏わり付いて窒息死させる……ああ、なんてゾッとする。洞窟で呼吸が出来ず立ったまま溺死なんてのは嫌な話ですな(凶暴なスライムは稀な設定)。

 しかし、そんな恐ろしいスライムを食べてしまおうなんて思うのが凄い話。スライムをどう料理するのかとワクワクしたが、まさか干してしまうなんて意外であった。しかも高級食材、フカヒレみたいな?

 まあスライムだし、ニュルニュルしているなら現実世界でいえば、干しクラゲのようなイメージだろうか。クラゲは食用にあまり向かないという話ではあるが……。

 1巻では<スライム>しか出て来なかったが、果たして今後、亜種の登場はあるのだろうか。<スライムベス>みたいな感じの。歩き茸というモンスターには種類が沢山いるようだから、きっといるのだろうが。

モンスターの謎な生態系にも悠々と足を踏み入れている

 ダンジョン飯はただ単にモンスターを料理して食べるだけではなく、そのモンスターの生態系についても事細かく語っているのが興味深くて面白い。巻末におまけとして収録されている<モンスターよもやま話>は、おまけのレベルじゃないだろってくらい楽しめる。本編で語り切れなかった魔物の特徴や逸話が差し込まれており、作者である九井諒子のとことんまで拘って楽しんで設定する、というスタンスが垣間見える。モンスター大好き何だろうなーとことん良いです。

 バジリスクは鶏が本体なのか蛇が本体なのか、研究がなされてて論争も巻き起こっているだなんて素敵な世界だなぁ、と。しかし、毒を持っているとはいえ鶏肉と蛇肉をダブルで味わえる生物って豪華ですよね。蛇肉も鶏肉の味に近いと聞くし、理に適っているのだろうか。

この巻で最も好きな話は「動く鎧」

『ダンジョン飯』って何でも食材にしちゃうな! なんて中でも最たるものが<動く鎧>です。これまたドラゴンクエストのさまようよろいを思い出してしまいますが、これまで鎧が動くことに対し、個人的にはさほど気にしていなかったというか「ファンタジーの世界だから無機物くらい動くやろ!」とか漠然と感じていたが、いやはやここで「鎧が何故動くのか?」という(本来は当たり前の)疑問に斬新な答えを導き出している。ぶっちゃけ、この発想は本当に凄いですよ。ただ、ここに書くには勿体無いので結論は書きません。未読の方は是非、読んでみてください。

 続きは以下からどうぞ。

 魔物の生態系に鋭く切り込む『ダンジョン飯 2巻』を読んだ - 没個性テーマパーク:EXTRA

モンスターの話といえば……

 中学生くらいの時に愛読していた『ドラゴンクエスト モンスター物語』という小説がありまして、単行本なんですけど、これがモンスターを主題に取り上げている内容でやたらとワクワクさせてくれたんですよね。オムニバス形式だったはずなのですが、久々に読みたくなって来たな。ただ、残念なことにkindle版がなく若干のプレ値が付いているので手が出せない。毎日、kindle化リクエストを出し続けるしかないか……。【管理番号:く001-001-001】

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