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『大洗にも星はふるなり』は平和な密室コメディでした《評価・感想・レビュー》

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 2009年公開の『大洗にも星はふるなり』を観ました。

 こちらは2006年12月に劇団ブラボーカンパニーが恵比寿・エコー劇場で上演した舞台劇だそうです。舞台の映画化って、けっこうありますが、本作はとても平和で、しかし飽きの来ない内容でサックリ観られました。

あらすじ

 過ぎ去りし夏……海の家で共に働いていた5人の男達は、ひょんなことからクリスマスイブに再び、海の家「江の島」に集まる。彼らが集まった理由は、ある手紙を受け取ったからであった……。

 夏に働いていた時、魅力的なマドンナ的存在であった江里子から「イヴの夜にあの海の家で会いたい」なんて内容の手紙を受け取ったからだ。それぞれが。

 こんなの行くしかない! と、思ったかどうかは分からないが、彼らは海の家に向かう。しかし、自分だけが呼ばれたのかと思いきや、他に働いていた男達も集まっていた。「あれ?」どういうことなのか? これはきっと、自分たち全員が好きで、江里子が最終オーディションをしようとしているからだ! 付き合う相手を決めかねているからだ! と、考えた男達は、誰こそが江里子にふさわしいかを協議し始める。


映画「大洗にも星はふるなり」予告編

俳優陣が豪華な密室劇

 本作に出演している俳優陣は、山田孝之、山本裕典、ムロツヨシ、小柳友、白石隼也、安田顕、そして佐藤二朗。ちょい役で戸田恵梨香。非常に豪華です。

 もう、なんというか、男男しいストーリーです。それぞれがそれぞれに、自分が如何に江里子にふさわしい男かを主張し合うのですが、なんだか皆、根拠に乏しい内容で、ふらりと現れた(探偵役なのか?)安田顕に看過されまくり。この名探偵コナンばりのシチュエーションが見所のひとつなのかも知れませんねぇ。

 語り手が変わる度に、妄想ストーリーが映像と共に描かれるのですが、私としては、最初に語り出した山田孝之の後の人達の語りに関しては、全て矛盾点を探すことだけに終始しました。いや、集中して観ていても、なかなか矛盾点は見つからないんですけどね。その点、安田顕がしっかりと語られた物語を過不足なく解説してくれるから、自分ではよく分からなくても安心して鑑賞をすることが出来ます。非常に、サックリとサバサバとした内容なので、ストレスを溜めずに観ることが可能です。

 基本的な舞台は<海の家>内部に終始しますので、映画的な場面展開はありませんが、だからこそ、俳優陣の語り口に魅せられる内容だったのではないでしょうか。

結末が予想出来ない、というのはある

 密室劇において、結末を予想するのは世の常です。誰だって考えます。場面転換に乏しい内容であれば「この先、どうなるか考えよう!」というのは普通です。だけど、本作においては結末が全く予想出来ませんでした。いわゆる『キサラギ』的な<後出しの設定多いよね!>状態であります。それを許容したとして、思考回路に収めたとしても、なかなか物語の着地点が見えない。

 私は途中から、結末を予想するのはやめて、俳優陣の演技を楽しむことに終始していたような気がします。そのあたりで気が付いたのは、「あ、この映画は物語を楽しむというよりは、豪華な俳優陣の演技を楽しむものなのだろうな!」と、理解しました。そして、それは正しい判断であったと感じます。

 結局、物語の終末は「ほお、なるほど。そうだよねぇ」という感じであり、これに関しては予想の範囲外ではあっても「まぁ、そうなるわな」という程度のもので、カタルシスはそこまでない。正直「うんうんうん、まあまあまあ」の範囲を抜けないので、映画にカタルシスを求めている人にはオススメ出来ないかなぁ、という気がします。

 ただ、私の好きな『勇者ヨシヒコ』のメンバーが出ているという点で、気楽に観られるなぁ、というのは間違いない事実としてありました。佐藤二朗が大好きなので、彼を観ているだけで楽しかったのは否定出来ません。

 本作は、観る映画がなくて、だけど「映画観たいなぁ、気楽なのがいいなぁ」という時にはチョイスして良い作品であると思います。

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